イベントのページに戻る  茨城大学工学部マテリアル工学科

マテリアル工学科大貫教授が科研費基盤研究(S)に採択されました

マテリアル工学科では、IT・ユビキタス社会の実現を目的に、次世代ナノLSIの高性能化に不可欠なCu配線の低抵抗率化の研究を科学研究費補助金(以下、科研費)基盤研究(A)およびNEDOのナノメタルプロジェクトで推進してきました。研究成果の指標は、科研費を中心とした外部資金獲得額であると言えます。本年度は、今までの研究を基礎にして計画された「極限高純度めっきプロセスよるCu配線ナノ構造制御と次世代ナノLSIへの展開」という研究テーマが基盤研究(S)として新たに採択されました。基盤研究(S)は、最高2億円と研究費が極めて大きいため、科研費の中で最も難易度が高く、採択率は極めて低いと言われており、これまでの本学科の成果が高く評価されたと言えます。プロジェクトリーダの大貫教授を中心に、マテリアル工学科のメンバー、東北大および物材機構が共同で研究を推進し、大きな成果を上げることが期待されております。

マテリアル工学科の学生は、世界最先端の研究を反映した教育を受けることができ、世に有為の人材として社会に巣立つことができます。

【プロジェクト名】

極限高純度めっきプロセスよるCu配線ナノ構造制御と次世代ナノLSIへの展開

【研究の概要等】

本研究の目的は、配線幅28nm以細LSIを実現する上で大きな障害と看做されているCu配線抵抗率増大によるLSI性能劣化のブレークスルー技術を開発するものである。

Cu配線の構造は、Cuコア導体部とその側壁に設ける高抵抗率バリアメタルからなる。従来は、主として高抵抗バリアメタルの極薄化による低抵抗率化が検討されているが、Cuそれ自体の抵抗率を低減する試みはほとんど行われていない。

これまでの研究から、市販高純度品より純度を1桁向上させた高純度めっき材料(アノード電極:公称純度9N、硫酸銅:公称純度6N、いずれも真の化学的純度:4〜5N)を用いて幅50nmCu配線を作製し、現状プロセスのそれよりもCu配線の結晶粒径を大きくでき、抵抗率を20%低くできた。すなわち、めっきプロセスの高純度化がCu配線の低抵抗率化のキー技術であることが分かった。

本研究では、めっきプロセスの一層の高純度化を図るため、真の化学的純度が市販高純度品を2桁以上上回る超高純度めっき材料を開発し、不純物の供給源になっている埋め込み特性向上のための添加剤を除去した状態での微細配線溝中へのCu配線形成技術を確立する。同時に低誘電率バリア性絶縁膜導入によるバリアメタルフリー化の検討も行い、革新的高導電性Cu多層配線材料システム基盤技術を開発して配線幅28nm以細LSIへの適用を目指す。

【当該研究から期待される成果】

本研究で得られる革新的高導電性Cu配線は、通常のめっき材料を超高純度品に替え、添加剤を除去するのみで得られ、LSIプロセスへの適合性に極めて優れていると考えられる。高導電性を有し、かつ高い信頼性を有するCu配線を開発できれば、日本のLSI製造メーカの発展に寄与できる。また、地球環境の維持保全に不可欠の低消費電力新電子・情報産業の創生にも寄与できる。

【研究期間】

平成20年度〜24年度

【研究経費】

1億6,130万円

【関係する最近のプロジェクト】

外部資金名称研究テーマ認可額研究期間
NEDOナノ薄膜組織制御技術1,969万円平成13年度〜平成16年度
科学研究費補助金
基盤研究(A)
20nm技術LSI用Cu配線材料の研究3,910万円平成17年度〜平成19年度
JST育成研究8インチウエハ用めっきプロセス及びアニール技術革新による低抵抗Cu配線の形成と次世代LSIへの展開4,933万円平成20年度〜平成22年度


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