茨城大学工学部マテリアル工学科 平成20年度シラバス 戻る

マテリアル輸送現象(2年後期)
Transport phenomena in materials単位数:2
担当:榎本正人コード:T8217

概要
固体の中でも原子が動き回ることが発見されたのは100年前である。ひとたび発見されると、この現象が材料のいろいろな方面で基礎的な役割を果たしていることが明らかとなった。古くは、析出による硬化であり、最近では水素による環境脆化である。この講義では固体内の拡散現象について学ぶ。

●JABEE関連科目:

キーワード
フィックの法則、原子空孔、侵入型原子と置換型原子、拡散係数、アレニウスプロット、自己拡散、相互拡散、カーケンダール効果、粒界拡散、パイプ拡散
到達目標
  1. 侵入方原子と置換型原子の拡散のメカニズムを理解する。
  2. フィックの法則を使って、拡散距離と拡散流束(原子輸送量)が計算できる。
  3. 体拡散、粒界拡散などの違いを理解する。

●JABEE対応:D-2.マテリアルのプロセスに関する基本の理解100%(構造性質30%、プロセス40%、機能設計30%)、JABEE目標:◎D、○G

授業計画
  1. ガイダンス、固体中の拡散
  2. 拡散の原子機構、侵入型原子の拡散
  3. フィックの第1法則
  4. 拡散方程式(フィックの第2法則)
  5. 定常状態の拡散(水素透過)
  6. 定常状態の拡散(円筒、球殻)
  7. 非定常状態の拡散(薄膜解と拡散対)
  8. 中間試験
  9. 非定常状態の拡散(浸炭)
  10. 非定常状態の拡散(変数分離法)
  11. 転位や粒界に沿っての拡散
  12. 合金中の拡散、相互拡散
  13. カーケンダール効果、アップヒル拡散
  14. 金属間化合物における拡散
  15. 期末試験
履修上の注意
規定の出席日数に満たないものは受験資格がないので注意すること。
成績の評価方法
中間試験、期末試験の得点で成績をつけます。ボーダーラインの人は、出席を考慮します。
教科書・参考書
  1. 「講義ノート マテリアル輸送現象」、榎本正人、生協、1400円
  2. 「金属における拡散」、Th.ホイマン著、藤川訳、丸善(2005)
  3. "Phase Transformations in Metals and Alloys", 2nd ed., D.A.Porter and K.E.Easterling, Chapman and Hall(1992)
  4. "Diffusion in Solids", 2nd. ed., P. Shewmon, TMS(1989)

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